治りにくい運動痛

動かすと痛いけど、毎回痛いわけではない。

さっきは痛かった動きだけと同じ動きをしてみても今度は痛くない。

「運動痛」と呼ばれるものの中には、このような運動痛もあります。

このような運動痛の問題点を見つけるのは、なかなか厄介です。

問題が見つけにくいので、改善の対策も立てにくい結果、なかなか治らないものです。

なぜ、このような問題が起こるのでしょうか。

それは、単純な動きであっても複数の関節や筋肉が複雑に連携して動いているためです。

たとえば、字を書くという動作でみてみましょう。

このとき動くのは、指節間関節(9個)、中手指関節(5個)、手根中手関節、橈骨手根関節、遠位橈尺関節、肘関節、肩関節・・・と数えあげると、数十個という関節が関与しています。

そのほか、動いている部分とバランスをとったり、姿勢を維持させるために関節を固定するという形で書字動作に関与する関節がたくさんあります。

頭や首、脊柱の関節群などがそうです。

また、関節を動かしたり固定したりする原動力は筋肉で、書字動作の際に活動している筋肉の数も50個以上はあります。

これらの50個以上の筋肉の力の出し合いによって同数以上の関節が動き、または固定され、字を書くという一つの動作が遂行されているのです。

一人の人間の書く字、たとえば署名が一人ひとり違って特徴を持ち、区別できるほどまでに特異性を秘めているのは、この関節と筋肉でつくられる微妙で個性的な力の合成によって字が書かれているためです。

余談ですが筆跡鑑定により区別できるのはこのためだそうです。

このように一つの動作を遂行するのに様々な関節や筋肉が複雑に連携して動いています。

ですから、一定の法則性がなく起こる「運動痛」は、自覚症状のある部分だけでなく、幅広い視野で問題を検証して対策に当たっていく必要があります。

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