頚椎の構造的特徴からみた発生しやすい問題
胸椎・腰椎にはない構造的特徴として、頚椎には鈎状突起と呼ばれる突起部があります。
約10歳頃から発達し始め、一つ上の椎骨との間に半関節を形成します。
鈎椎関節(ルシュカ関節)と呼ばれ、頚椎を診ていくうえで臨床上非常に重要です。
鈎椎関節は、10歳頃からの発達に伴い、椎間円板において間隙が形成し始めます。
この間隙形成過程は歳と共に広がり、椎間円板に水平の間隙を生みやすくなります。
鈎椎関節の発達に伴う関節の不安定化は、頚椎の退行性病変を加速させます。
鈎椎関節のこのような特徴の結果、腰椎以上に頚椎では椎間板症が起こりやすいのです。
また、鈎椎関節の退行性変化による骨棘形成は、椎間孔部で脊髄神経と椎骨動脈を容易に圧迫しやすくなります。
その結果、上肢や肩甲間部への神経症状や椎骨動脈の血流不全(頭痛・眩暈・耳鳴りなど)などの症状がみられるようになります。