腰痛治療にに対する新しい視点

腰痛の治療では、様々な保存療法(非手術療法)が行われてきましたが、それらが本当に科学的に根拠のある治療かどうかという観点から、治療法を見直していく動きが始まっています。

その中でこれまでは腰痛の治療として重視されてきた「安静」が、明らかに否定されるようになっています。安静は身体的にも心理的にもメリットが少なく、デメリットの方が多いことが、多くの研究で明らかになっているのです。

また、画像上の変化と患者さんの訴える腰痛の症状とが、あまり一致しないこともわかってきました。

最近の研究によれば、腰椎椎間板ヘルニアで手術を必要としている患者さんと、そうでない人を対象に調べてみたら、腰椎椎間板ヘルニアでない人たちの8割近くに画像上は椎間板ヘルニアが見られるという結果が出ているそうです。

ヘルニアがあっても痛みが起こるとは限らないし、逆に画像検査の結果だけを頼りに治療を進めても患者さんの苦痛を取り除けるとは限らないということです。

一方で、腰痛には心理面の影響が大きいことが分かってきました。

そのため、患者さんの心理的背景、社会的背景に配慮した精神医学的なアプローチの必要性も認識されるようになっています。

また、施術者と患者さんとの信頼関係の確立や患者さん自身の積極的な治療への参加が治療成績を大きく左右することも明らかになってきました。

この点に関しては、施術者にも改善すべき点が残されていますが、患者さんにも治療を施術者任せにしないという積極性が求められます。

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